性差医療 女性健康センター設立を
米国は10年先行、研究体制の整備急げ
男女で異なる症状
男女の違いを考慮した「性差医療」に関心が高まっている。近年では、性別によって病気の症状や治療の方法、効果が異なることが分かってきていることを踏まえ、性差医療は、女性に特有または女性に発症率の高い病気などに着目し、予防や治療を行う。女性の社会進出が進みつつある今、女性の健康を支える環境の整備を全力で進めていく必要がある。
女性特有のがんとしては、乳がんや子宮がんが挙げられる。女性が一番多くかかるがんである乳がんの死亡者数は年間1万人を超える。また、子宮の入り口付近にできる子宮頸がんも、20歳代の若年層で急激に増えており、早期発見に有効な検診の受診率向上などの対策は急務の課題といえる。
女性は、思春期における女性ホルモンの増加や妊娠・出産など環境の変化で、うつ病になりやすいといわれる。さらに、主に40歳代半ばから50歳代半ばにかけて現れる更年期障害も、女性にとっては大きな悩みとなる。閉経前後の女性ホルモンの減少に伴い、ほてりや不眠、異常発汗、不安感、動悸、めまい、イライラといった症状が現れる。
このほか、内閣府が、1000人当たりの疾患ごとの男女別通院数をまとめた資料によると、認知症や白内障、関節症、肩こり症では、女性が男性の約2倍から2.5倍も多く、自律神経失調症では3倍、甲状腺の病気では4倍超にも上っている。
疲労感などの自覚症状があるにもかかわらず、検査で異常がはっきりしない「不定愁訴」のある女性は相当数に上り、骨粗しょう症も圧倒的に女性に多い。
これまでの医療は、多くが男性をモデルに研究され、発展を遂げてきたが、そうした視点だけでは限界があるのは明らかだ。
「女性の健康」を守る施策に一貫して取り組んできた公明党は、女性特有の心身の症状に女性医師やスタッフがキメ細かく対応する「女性専門外来」にいち早く注目し、議会質問や署名活動を通じて、同外来の全国展開を積極的に推進してきた。
先日、党女性委員会がまとめた女性サポート・プランでは、女性の健康や医療について調査し、研究する「女性健康研究ナショナルセンター」(仮称)の設立を提案している。これは、各州に女性の健康に関する研究を専門的に行うセンターが設置されている米国をモデルに、「性差医療」の研究や情報発信の“拠点”をつくることを意図したものだ。情報発信の“拠点”ができれば、女性専門外来の質や専門性が格段に高まることが期待でき、研究に裏打ちされた男女の性差を考慮した正しい健康法を国民に提供できる。若い時期から性差に配慮すれば、将来的な生活習慣病対策、介護予防策にもなる。
社会全体で支えよう
性差医療は、もともと1990年代にアメリカを中心に提唱され、社会的・文化的な違いにも配慮する考え方に基づく。女性の平均寿命も長くなり、社会で働くことが当たり前になる中で、現在の日本の慣行や制度がうまく機能しなくなり、そのひずみが少子化傾向に拍車を掛けた。
もちろん、見直されるべきは医療だけでなく、男性も含めた社会全体で女性を支える姿勢であり、性差医療への関心が高まりつつある今だからこそ、研究センターを理想に終わらせることなく、確実に実現を図る必要がある。
公明新聞より